9月下旬には「秋分の日」がやってきますね。
同じ秋の文字が入っていても、立秋は8月の暑さのピークの時期なのに比べ、秋分の日はだいぶ涼しくなり、秋がだいぶ実感できる頃になってきます。
「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざがありますが、秋のお彼岸はこの秋分の日を中心に、前後7日間となります。
秋分の日は9月23日と思いがちですが、そもそも天体の動きから割り出されるもので、実は年によって変わることがあります。
2023年の秋分の日はいつなのかを含め、秋分の日にまつわる雑学を6つ集めてみました。ご一緒に秋を感じていただけたらと思います。
2023年の秋分の日はいつ?天文学による国民の休日は珍しい
2023年の秋分の日は 9月23日(土・祝)です。
「国民の祝日に関する法律(通称:祝日法)」という法律によって、天文学上の「太陽が春分点に来る瞬間を含む日が秋分の日」と定められています。
細かい説明は次の項で書きますが、太陽の動きは正確に1年に1周ではなく微妙にずれがありますから、年によって秋分点がずれ、秋分の日もずれるということになります。
ちなみに
2020年…9月22日
2021年…9月23日
2022年…9月23日
そして
2023年…9月23日 と微妙に異なります。
私はなんとなく秋分の日=9月23日、というイメージがあったのですが、それもそのはず、昭和55年(1980)から平成23年(2011)まで32年間、ずっと9月23日だったんだそうです。平成24年 (2012)に33年ぶりに、23日ではない「9月22日」になりました。
ちなみに来年2024年は9月22日ですよ!
(この辺の話は国立天文台 暦計算室 暦要項「秋分の日が動き出す」にありますので興味のある方はどうぞ)
国民の祝日が天文学からきていて変化するというのは、世界的にも珍しいそうです。そういえば日本でも「春分の日」「秋分の日」だけですね。
秋分点ってなに?
前の項で言葉を出してしまったのですが「秋分点」について少しお話しします。
こちらの図をご覧ください。天球図と言われるものです。
一般的な、地球が太陽の周りを回るという考え方ではなく、地球を中心に太陽の動きを考えたものです。
地球の北極の真北を天の北極、真南を天の南極、赤道に当たるものを天の赤道とします。
それに対して太陽は少し傾いて動くのですが、その動く軌道を黄道といいます。
・・ちょっとややこしいですね(^_^;
天の赤道と黄道が交差するところが2か所ありますが、これが「春分点」と「秋分点」となります。
いわゆる二十四節気は、「春分点」を基準にしてこの一周を24に分けたものです。地球から見て太陽の角度を春分点を0度として、角度で表わしますがこれを「太陽黄経○度」という言い方をします。
秋分点は、黄道と天の赤道が交差するところでもあり、「太陽黄経180度」でもあります。
少し頭が痛くなるような話になりましたね。次はもう少し柔らかい話です。
「秋分」には3つの定義(見方による違い)がある
秋分の日は「秋分点」から割り出されると書きましたが、逆に言えば「点」であったり「日」であったりもします。さらに「期間」でもあります。少しその話をします。
こちらの図をご覧ください。先ほども出ましたが「二十四節気」の図です。ここにも秋分が出てきます。
秋分の3つの定義
- 1.「瞬間」…太陽が秋分点を通過する“瞬間”
-
天文学的に割り出されるものです。
ちなみに2023年の秋分点通過の時間は9月23日(火)15時50分となります。(国立天文台 暦計算室 暦要項より) - 2.「日」…太陽が秋分点を通過する瞬間を含む“日”
-
これが一般に言う「秋分の日」です。2023年は9月23日ですね。
- 3.「期間」…二十四節気で言う秋分の期間の全体を示す
-
秋分の日から次の「寒露」の前日までで、約15日間となります。
2023年は9月23日〜10月7日です。
秋分の日は昼と夜が同じ長さってほんと?
春分の日・秋分の日は昼と夜の長さが同じ、って良く言いますよね。
私もそう思っていましたが、正確に言えば「ほぼ同じ」が正しいようです。
「昼」「夜」の定義に関わることですが、日の出・日の入りは「太陽の上の端が地平線と一致する瞬間」とされています。「太陽の中心が地平線と一致する瞬間」ならいいのですが、上端なので、太陽そのものの移動の分だけずれ、昼の方が少し長くなってしまいます。
また、もうひとつの理由として、大気の屈折の影響も挙げられています。地平線近くの天体は、大気により屈折して見えるので実際より浮き上がって見えるということがあります。その分昼の長さがさらに長くなることになります。
その年にもよりますが、概ね14、5分、昼の方が長いんだそうです。ちょっとびっくりです。
秋分の日は祝日法で「祖先をうやまう日」
第1項でも「祝日法」というお話をしましたが、国民の祝日は、それぞれ祝日法で「こういうための日」と定められているのをご存じですか?
あまり知られていませんよね、実は私もよく知りませんでした。
祝日法で、秋分の日は
「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」と定められています。
これに対して春分の日は
「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」と定められています。
春の彼岸、秋の彼岸と言ってそれぞれお墓参りをしますが、祝日法的に言えば秋分の日が特にご先祖を偲ぶ日ということになるんですね。
そう思えば秋分の日やその前後にお参りに行くのも気持ちが違いますね。
お彼岸ってなぜお墓参りをするの?
秋分の日と春分の日は「彼岸の中日」といい、それを中心に前3日、後3日を加えた7日間がお彼岸の期間となります。
2023年の秋のお彼岸は
9月20日(水):彼岸の入り
9月23日(土・祝):彼岸の中日(秋分の日)
9月26日(火):彼岸の明け となります。(地域によっては彼岸明けという言葉は使いません)
なぜ秋分の日と春分の日がご先祖様へのお祈りの日とされているかというと・・・
これは仏教の「お浄土」という考え方に根付いているようです。
「極楽浄土」いわゆるお浄土はずっと西のかなたにあると思われてきました。秋分と春分の時には太陽が真東から上り、真西に沈みます。そのために(西にある)お浄土にいらっしゃるご先祖様と最も近くなると思われてきたようです。
さらに太陽そのものに対する信仰もありましたから、太陽がお浄土に最も近い、という意味も含めて、この時にご先祖を偲ぶ習慣になったようです。
「暑さ寒さも彼岸まで」。今年の夏は格別に暑い日が続きましたが、秋分の頃にはだいぶ涼しくなってくることでしょう。
秋分の日にはご先祖様に感謝をするとともに、本格的な秋に向けいろんな準備をしたいものですね。
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