毎年、正月、松の内が開けたころに、私の住む広島ではあちこちで「とんど祭り」が行われます。もちろん広島に限らず全国で同様の火祭りは行われますが、広島は特に盛んな土地ではないかと思います。
私も小さい頃からいろんな場所で、とんどの炎を見てきましたし、現在も多くの神社や町内会などで行われています。
最近では、数年前になりますが、JR広島駅から歩いて10分ほどの「饒津(にぎつ)神社」に行って見てきました。
これがその時の写真です。日がすっかり落ちて真っ暗な中で炎が高く高く上がります。(10mくらいになっていたのではと思います)
とんど祭りの実際の様子は動画を見ていただいた方がわかりやすいですね。
広島でも「神事の色合いが濃いとんど」と「イベント的な色合いが濃いとんど」の二種類がありますので比べながらご覧ください
【神社でのとんど祭りの例(広島護国神社)】
神主さんが祝詞をあげ、いろいろな儀式を行った上で火をつけます。
お神酒が振る舞われたりします。
【イベント的なとんど祭りの例(西区大芝公園)】
神社以外でも、地域の行事として行われます。お神輿のように練り歩くものや、いろいろなバリエーションがあります。
とんど祭りはいつ行われる?
冒頭にも書きましたが、とんどは旧暦で一年の最初の満月となる小正月の行事です。
神社では1月14日の夜、もしくは15日の昼に催されるところが多いです。
広島市内で最も大きい神社の一つ広島護国神社は昼の開催ですが、饒津神社はじめ、夕暮れから夜にかけ行う神社が多いと思います。
神社以外で行われるとんど祭りは、日付よりもお客さまの利便性を優先ということで、15日に近い日曜または土曜の昼間に開催するところが多いです。
2024年、広島でとんど祭りが見られる場所は
2024年の1月に、広島市内および近郊で見られるであろう主なとんど祭りを一覧にしました。
※記事を修正しているのが2023年8月8日ですので、まだ来年1月の予定はわかりません。近くなってわかったものは順次更新していきます。神社で毎年固定であるところはその日を書きますが、それ以外で動く可能性のあるものは例年の状況を参考にした上での予想であることをご了承ください。
※記事はこれまでの開催例から書いておりますが、2024年には開催しないとか、もう終了してしまったというものもあるかもしれませんがご了承ください。
なお、来年2024年は、13日が土曜、14日が日曜なので、このあたりにするところが多いのではと予想します。
いずれにしても、行かれる予定のところに直接確認されることを強くお勧めします。(各神社、観光協会、町内会等にてご確認ください)
以下、順に、神社名またはイベント名、住所・電話番号、日時、特徴です。
中区
広島護国神社
- 住所:広島市中区基町21番2号
- 問い合わせ:広島護国神社 TEL.082-221-5590
- 1月15日(月)午前10時~[毎年、日時が固定されています]
- 市内でも最も大きな神社のひとつ。神事も見どころです。
中区千田通り商店街のとんど祭
- 場所:千田スポーツ公園 中区千田町3丁目
- 【予想】1月10日(日)?17日(日)? 午前9時頃〜[未確認]
- 例年、消防団の消火実演、うどんやおでん等があります。
東区
饒津(にぎつ)神社
- 住所:広島市東区二葉の里2-6-34
- 問い合わせ:饒津神社 TEL.082-261-4616
- 1月14日(日)午後6時30分~[毎年、日時が固定されています]
- JR広島駅から徒歩10分。真っ暗な中に高く登る炎は荘厳です。
広島東照宮(古守札焚上祭)
- 住所:広島県広島市東区二葉の里2-1-18
- 問い合わせ:広島東照宮 TEL.082-261-2954
- 【予想】1月11日(祝)?か17日(日)? 午前11時~午後1時頃[毎年1月15日近くの休日ということですが2024年は未確認です]
- JR広島駅から徒歩10分の古刹です。
早稲田神社
- 住所:広島市東区牛田早稲田2丁目7-38
- 問い合わせ:早稲田神社 TEL.082-221-1885
- 1月14日(木) 夜(午後6時~9時)[毎年、日時が固定されています]
- ぜんざい、甘酒が用意されています(量に限りがあります)。
西区
西区大芝のとんど祭り
- 場所:広島市西区大芝公園
- 【予想】1月14日(日)? 午後1時点火(雨天の場合9日)[未確認]
- 市内で行われるとんどの中では最大級と言われます。
安佐南区
安佐南区とんど祭り
- 場所:安佐南区沼田町阿戸(郷坂地区)の稲刈り後の田んぼ
- 【予想】1月10日(日)?17日(日)? 午後2時~[未確認]
- ぜんざいや豚汁が振る舞われます。500本を越える竹を使った巨大なとんどです。
(以下、広島市外・近郊)
廿日市市
宮島とんど祭り
- 場所:厳島神社前の砂浜にて
- 1月14日(日)午前7時30分~10時頃[毎年、日時が固定されています]
- 干潮時に行われるので、年によって時間が変わります。商売繁盛、無病息災の御利益があるとも。
吉和大とんど祭り
- 場所:吉和グラウンド(広島県廿日市市吉和)
- 【予想】1月14日(日)? 午後3時~[未確認]
- 櫓が20m、炎は30mにも達する非常に大型のもの。
福山市
能登原(のとばら)とんど
- 場所:沼隈町能登原地区一円(午前11時~)/ 能登原小学校(14時~)
- 問い合わせ:沼隈町観光協会 TEL.084-987-0328
- 【予想】1月14日(日)? (11時~能登原地区一円)/ (14時~能登原小学校)[未確認]
- 神輿に近く、町内を練り歩いた後、とんど同士をぶつけあう「暴れとんど」。
福山とんど
- 場所:芦田川の河川敷左岸 水呑大橋近く
- 【予想】例年 2月23日(旧暦1月14日)夜[未確認]
- とんどの点火前、和太鼓の演奏や巫女舞などが行われ、盛り上げます。
尾道市
山波とんど(神明祭)
- 場所:山波小学校
- 問い合わせ:尾道市観光課 TEL.0848-38-9184
- 【予想】1月14日(日)? 午前12時~[未確認]
12時~オープニングセレモニー 12時30分~とんど担ぎ 午後3時~点火 5時終了予定 - 尾道市のとんどです。稲わらできれいに作られ、一番上にその年の干支の飾り物がつけられています。
(山口県)岩国市
錦帯橋とんど祭り
- 場所:岩国市の錦帯橋の河原周辺
- 問い合わせ:岩国市観光協会 TEL.0827-41-2037
- 【予想】1月10日(日)?17日(日)? 午後5時頃~[未確認]
もちろんここに挙げた以外にもたくさんの場所で行われますので、他の情報もご覧になってください。私もわかったものがあれば追加していきます。
とんど祭りQ&A
とんど祭りについて、いくつか主なQ&Aを書いておきますね。
- そもそも、とんど祭りとは?
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とんど祭りは、1月の小正月(1月15日、または1月14日~16日の3日間)に行われる行事で、竹などを大きく組み上げ、そこに、その年の正月に飾った門松やしめ縄、去年の御札、破魔矢などを持ってきて燃やします。炎は10mにもなり、大変迫力があり、また、冬の寒い中ですからとても暖まります。
また、書き初めで書いた紙を持ってきて焼き、その時に紙が高く舞うと字が上手になると言われます。さらに、その火で餅やだんごを焼いて食べたり、灰を自宅に持ち帰り撒いたりします。
元々、正月に神様が宿ったものをお焚きあげしてお見送りするという古くからの信仰がありましたが、火は古くから霊験があると信じられてもいて、炎に無病息災・家内安全を祈ることと繋がりました。
小さなお子さまに教えてあげるなら、「神様の大事なものはゴミ箱に捨てたりしないで、ありがとうございましたって言ってきちんと燃やすのが大切なのよ」ってところでしょうか。
- とんど祭りの由来は?
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お正月は元々、毎年新年に「年神様(としがみさま)」が家にやってきて幸福を授けてくれる、という行事です。
門松、鏡餅、しめ縄などお正月のいろいろな飾り物は、この年神様をお迎えするためのものですが、とんど祭りはこの年神様が宿ったものを焼いて天空にお戻しする、お見送りする、という意味の神事です。
年神様は別名「年徳神/歳徳神(としとくしん または とんどしん)」と言いますが、「とんど」の語源はこの「とんどしん」から由来すると考えられています。
また、平安時代、占いなどをつかさどった陰陽師が、青竹を束ねてその上に扇や短冊などを添えて焼き、吉凶を占ったとされます。それが「左義長(さぎちょう)」で、これと年徳神の信仰が結びつき、今のような形になったものと思われます。
- とんどは地方によって呼び方が違う
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広島では「とんど」が標準ですが、地方によっては「どんど」または「どんと」と言うところも多いようです。さらに「左義長(さぎちょう)」「三九郎」、その他たくさんの別名があるようです。面白いですね。
- 焼くのはお餅?お団子?それとも?
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私が知っている限りでは、広島ではお餅が多いように思います。でもお団子のところもあるでしょう。みなさん、お餅(またはお団子)を串に刺して数本をまとめて差し込み、焼けたところで食べてらっしゃいます。
関東では、米を引いた粉から繭のような形に丸めて蒸した「まゆ玉」を作る習慣のところも多いようですね。お餅やまゆ玉、お神酒、甘酒をいただくことで、一年の健康や家内安全を祈るのは、やはり年の始めとしてはいいものです。
と同時に、1月の寒空の下、お腹が温かくなるのはやっぱりうれしいですけど☆(^o^)
「どんど」「どんと」など、お焚き上げのいろんな呼び方を調べてみました。
終わりに
昔に較べると、物を燃やすことでの環境汚染が問題視されたり、火災の心配が言われたりして、とんど祭りは縮小傾向にあるようです。
ただ、こういう古くからの神事は日本人の心にも深く根ざすものですし、観光的にも、ご近所さんとのコミュニケーションという意味でもとても大事なものだと思います。
ぜひ長く続いてほしいと思うし、私もなるべく行って楽しみたいと思います。
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